そこのカフェのウリは、マダムそのものだと思う。
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先日、ひと気のない合間に、いそいそと行ってこんな話をした。
「今年はジャムを全然つくってないの。
だって、フルーツそのままで最高に美味しいから」
「今年は写真も撮れないの。
だって、直にみたほうが、美しいから」
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こんな身も蓋もない話をしても、
「そうよね〜ありちゃん。」とうなずいてくれる。
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今度行ったら、こんな話をしようと思う。
「安くないお金でシュトレンを買って、
イマイチ美味しくない、あるいはフーンという気持ちで終わってしまったら」
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今ここで書いたとたんに、
すでに血圧が上がっている。
悔しい。ちゃぶ台をひっくり返したくなる。
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本当のシュトレンは、
本当に美味しいのに。
粉砂糖に包まれバターとスパイスとドライフルーツやナッツが織りなす、
めくるめく香りの中で(スーハースーハー)、
あああぁぁぁもう一切れちょうだい、
と懇願してしまうのがシュトレンなんだい。
そうでないのが多過ぎる。
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「だいたい」と私は興奮して言う。
「Stollenっていうのをシュトーレンて多くの人が誤表記しているのもヤダ。
トーと伸ばすどころか、トッに近いくらいシュトレンなのにっ。
外人が寿司をスーシーと言っているみたいで、ヤダったらヤダ!」
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「まあまあ、ありちゃん」マダムは珈琲よね、と言って出してくれる。
注文まだ決めてなかったけど、これを飲んで、さらに血圧を上げて、ちょうどよくなる。
なにしろ普段上が78だし、
悔しさは大きいエナジーだ。
おしまい。
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お問い合わせをいただくことが多いシュトレンですが、
おそらく来週中に通販の詳細を。